まだピーターさんの眠る寝室のドアを開け、枕元のテーブルの上にあるポロビオテクスのボトルを持って仕事部屋に向かった。

まだ暗い窓の外を眺めて、ふとコーチングの会社に勤めていたときのことを思い出した。

まだ暗いうちから会社に向かっていたっけ。

それはもう、10年前のことだ。10年越しの旅をしていたんだ。

この旅はどんな旅だったんだろう。

10年のあいだでいろいろな仕事をしたし、いろいろな人に出会った。
そんな時間を経て今あるのはシンプルな暮らしだ。

あの頃はきっと、熱に浮かされていたのだろう。

社会の中に流れる「成功」や「成長」、「価値ある人生を生きる」という見えない声によって引き起こされる熱に。

でもそれに思いっきり踊ったからこそ今がある。
やりきったからこそ「あの世界には戻らなくていい」と思える。

これまでの世での積み残しを体験する。
その先の世界を見る。

それがきっと今世のテーマなのだろう。


鳥の声が聞こえ始めた。

闇が薄まる。

夜明けは近い。

2022.7.2 Sat 6:37 Mexico Mexico city