ほのかな光を感じるのと、鳥のさえずりが聞こえてくるのはどちらが先だっただろう。

内側からの開花と、外側からの刺激が同時にやってきたような、そんな心地よい目覚めだった。大都市の、さらに真ん中のエリアであるにも関わらず静かな朝を迎えていることに驚きと喜びを感じる。

昨日到着したメキシコシティは想像していた以上に大きな街だった。
と言っても、飛行機の上から広く広がる市街地を見下ろしただけなので、まだその広さが体感としてどんなものかは分かっていない。そして、一ヶ月を過ごすために予約をしたそんなメキシコシティの中心部で、メトロポリタン大聖堂など歴史的な建物が連なるエリアまで歩いて10分もかからない(にも関わらずスーパーなども近くにある)、散歩がてら観光をするのにちょうどいい場所だった。

室内のインテイリアなどは特別ではないけれど(しかし、物が少ない中にもオーナーさんの好みが感じられる)、ベッドルームが二つあり、それぞれにデスクもあり、仕事をするにもとても良い環境だ。マスターベッドルームとして使う部屋にある机の方が少し大きくてデザインも素敵なので、そちらをわたしの仕事部屋に持って行きたいと言ったらピーターさんが「この机、結構気に入っているんだけど」的なことを言った。どうやらここで勉強や書き物をするイメージが沸いているようだ。それにしてもすでに机の上に荷物がごちゃごちゃと広がっているので、物置にするならやっぱり机を交換したいと思うが、数日様子を見てからにしよう。

5月の上旬にニカラグアのアポヨ湖のほとりを出てからもうすぐ1ヶ月半、久しぶりに腰を据えての暮らしだ。と言っても6月は月末までそこそこ予定が入っているので、きっとあっという間に過ぎていくだろう。1日中空いている日というのは数日あるかないかだ。

一昨日、日本が6月10日以降の外国人の入国規制緩和で、婚約者や事実婚、同性婚などの関係性の相手も「特段の事情がある」(入国を認める)という方針だと発表をしたことを知った。戸籍上の婚姻関係が必要とされてきたこれまでに比べると大きな変化だ。

それでもビザを取得しないといけないので簡単ではないが(オランダのハーグの日本大使館ではすでに連日長蛇の列ができているらしい)、日本大使館のあるメキシコシティに今月滞在することになったのも何かの流れに乗っているのだろう。

できれば8月中には日本に行きたい。ひとまず秋頃まで滞在して、今度はアジアの他の(あたたかい)国に冬の間滞在することになるだろうか。

と、いろいろなことがすでに頭を巡っているが、そんな中、ピーターさんがお風呂にお湯を溜め始めた。「お風呂」と言っても日本で言う浴槽とは違う、シャワーの下が石で囲まれた四角いゾーンだが、どうやら久しぶりのバスタブに早速つかるつもりらしい。(思い返してみるとバスタブがあったのはモロッコで最初に滞在したホテルが最後だっただろうか。もう半年以上も前のことだし、そのあとはシャワーが水しか出ない場所がほとんどだったから、あたたかいお湯が出るのも久しぶりだ)

パロサントの香りも漂ってくる。
ミュージックも必要だと言っている。

そして、「マーケットがたくさんあるみたい!明日は一日雨みたいだから今日どこかに出かけよう」とも言っている。

まずは今日、今ここにある時間を存分に楽しむ。
これは旅の間もずっと彼からずっと学んできたことだ。

久しぶりに「暮らし」の時間がやってきた。2022.6.5 Sun 8:55 Mexico City